毎月の売上不安を解消!安定するサロン経営の考え方
JSS協会では、サロンを継続的に運営するための経営力を身につけ、お客様から信頼されるサロンづくりを支援しています。
今回から、エステティック認証制度アドバイザーであり、エステティックジャーナルでサロン経営に関するコラムを執筆されている草野先生と一緒に、サロン経営について学ぶ動画シリーズをスタートしました。
シリーズ名は、
「教えて草野先生」シリーズです。
サロン経営、集客、マーケティング、リスク管理など、サロンを長く続けていくために必要な知識を、さまざまな角度から分かりやすくお伝えしていきます。
第1弾のテーマは「毎月の売上不安」
サロンを経営していると、毎月の予約や売上に不安を感じることがあります。
「来月も予約が入るだろうか」
「今月の売上目標を達成できるだろうか」
「お客様が減ったらどうしよう」
「売上はあるけれど、本当に利益が残っているのだろうか」
このような不安は、個人サロンや小規模サロンの経営者にとって、とても身近なものです。
しかし、ただ不安を感じ続けていても、経営は安定しません。
大切なのは、不安の原因を数字で確認し、必要な対策を具体的に考えることです。
今回の動画では、草野先生に、毎月の売上不安を減らすための考え方や、経営者が準備しておくべき予防策についてお話しいただきました。
動画とあわせて、サロン経営で知っておきたい基本的な数字を確認していきましょう。
1.まず知っておきたい「損益分岐点」

エステサロンの損益分岐点と固定費・変動費の考え方
売上がいくらあれば赤字にならないのかを確認する損益分岐点の考え方
損益分岐点とは、売上と費用がちょうど同じになり、利益がゼロになる売上のラインです。
損益分岐点を超えると黒字になり、損益分岐点を下回ると赤字になります。
つまり、サロン経営では最初に、
「毎月いくら売り上げれば、赤字にならないのか」
を把握することが大切です。
サロンの費用は2つに分けて考えます
サロンで発生する費用は、大きく「固定費」と「変動費」に分けられます。
固定費
固定費とは、売上の増減にかかわらず、毎月ほぼ一定に発生する費用です。
例えば、次のようなものがあります。
・家賃
・人件費
・リース料
・通信費
・月額の広告費
・システム利用料
お客様が少ない月でも発生するため、固定費が高いほど損益分岐点も高くなります。
変動費
変動費とは、売上やお客様の人数に応じて増減する費用です。
例えば、次のようなものがあります。
・施術で使用する化粧品
・コットン、シート、手袋などの消耗品
・商品の仕入れ代金
・決済手数料
・販売手数料
施術や商品販売が増えるほど、変動費も増えていきます。
損益分岐点の計算方法
基本的な計算式は、次のとおりです。
損益分岐点売上=固定費÷粗利率
例えば、毎月の固定費が30万円で、変動費率が20%の場合、粗利率は80%です。
30万円÷80%=37万5,000円
この場合、月の売上が37万5,000円を超えると黒字になり、下回ると赤字になる可能性があります。
客単価が1万円であれば、月に約38人、1日あたり約1~2人の来店が一つの目安になります。
ただし、ここで出した数字は「利益がゼロになるライン」です。
経営者自身の報酬や、将来の設備投資、納税資金まで考える場合は、損益分岐点よりも高い売上目標を設定する必要があります。
2.売上ではなく「利益率」を確認する

エステサロンの利益率の計算方法
売上から経費を差し引き、どのくらい利益が残ったかを確認します
売上が高くても、経費が多ければ利益は残りません。
そのため、サロン経営では売上金額だけでなく、最終的にどれだけ利益が残ったかを確認することが重要です。
利益の基本的な計算
利益=売上-経費
例えば、月の売上が50万円、経費が35万円の場合は、
50万円-35万円=15万円
となり、残った利益は15万円です。
利益率の計算
利益率=利益÷売上×100
15万円÷50万円×100=30%
この場合、売上50万円に対して30%の利益が残ったことになります。
利益率を見ることで、単に売上が増えたかどうかだけではなく、
「売上を効率よく利益につなげられているか」
を確認できます。
利益率を改善する方法
利益率を改善するためには、値上げだけを考えるのではなく、次のような項目を見直します。
・材料費や仕入れ価格
・決済手数料
・広告費
・人件費
・メニュー構成
・客単価
・次回予約率
・リピート率
・物販売上
売上を増やしても、広告費や材料費が同じ割合で増えれば、利益は残りにくくなります。
毎月、売上と経費をセットで確認することが大切です。
3.施術や商品の「原価」を把握する

エステサロンの施術原価と粗利の計算方法
施術や商品を提供するために直接かかる費用を原価として計算します
原価とは、施術や商品をお客様に提供するために、直接かかる費用のことです。
施術料金がそのまま利益になるわけではありません。
例えば、8,000円の施術に次の費用がかかるとします。
・化粧品や美容液 1,200円
・コットンや手袋などの消耗品 300円
・決済手数料 240円
原価の合計は、1,740円です。
原価率の計算
原価率=原価÷売上×100
1,740円÷8,000円×100=約22%
この施術の原価率は約22%です。
粗利の計算
粗利=売上-原価
8,000円-1,740円=6,260円
この施術の粗利は6,260円です。
粗利率の計算
粗利率=粗利÷売上×100
6,260円÷8,000円×100=約78%
この施術の粗利率は約78%となります。
ただし、粗利6,260円が、そのままサロンの最終利益になるわけではありません。
ここからさらに、家賃、人件費、広告費、光熱費、リース料などを支払います。
そのため、メニュー価格を決める際は、材料原価だけでなく、施術時間や固定費も含めて考える必要があります。
4.「粗利」と「利益率」の違い

エステサロンにおける粗利と利益率の違い
粗利は残った金額、利益率は売上に対して残った割合を表します
粗利と利益率は、似ているようで意味が異なります。
粗利は「残った金額」
粗利は、売上から原価を差し引いた金額です。
粗利=売上-原価
例えば、売上が1万円、原価が3,000円の場合、
1万円-3,000円=7,000円
粗利は7,000円です。
粗利を見ると、
「1回の施術や商品販売で、いくら残ったのか」
が分かります。
粗利率は「残った割合」
売上に対して、粗利がどれだけ残ったかを割合で表したものが粗利率です。
粗利率=粗利÷売上×100
7,000円÷1万円×100=70%
この場合、粗利率は70%です。
資料では分かりやすく「利益率」と表現していますが、売上から原価だけを差し引いて計算する場合は、経営上は「粗利率」と呼ぶ方がより正確です。
最終的な利益率を確認するときは、原価だけでなく、家賃、人件費、広告費などの経費も差し引いて計算します。
粗利と利益率の見方
粗利は「円」で確認します。
粗利率や利益率は「%」で確認します。
粗利だけを見ると、1回の施術でいくら残るかが分かります。
利益率を見ると、売上に対して効率よく利益を残せているかが分かります。
両方を確認することで、価格と原価のバランスが見えるようになります。
5.予約が入っていても不安が消えない理由
現在、予約が入っているサロンでも、経営者の不安が消えないことがあります。
その理由の一つは、今の売上が来月以降も続くのか、再現できる仕組みになっているのかが分からないためです。
経営を安定させるには、売上だけでなく、次の数字を確認する必要があります。
・客数
・客単価
・原価率
・粗利率
・リピート率
・次回予約率
・物販売上
・固定費
・損益分岐点
例えば、売上が目標に届かない場合でも、原因が新規客数なのか、リピート率なのか、客単価なのかによって、必要な対策は変わります。
原因が分からないまま広告を増やしても、十分な効果が得られないことがあります。
数字を確認することは、経営者を責めるためではありません。
「今、何を改善すればよいのか」を見つけるための道しるべです。
6.経営には「予防策」と「起きた後の対策」が必要
サロン経営では、問題が起きてから慌てるのではなく、事前に予防策を準備しておくことが大切です。
例えば、新規予約が減った場合に備えて、既存のお客様へのフォローや紹介の仕組みを整えておくことも予防策です。
キャンセルが増えた場合は、予約確認やリマインド方法を見直します。
売上が目標に届かない場合には、集客だけでなく、次回予約、リピート率、客単価、物販、メニュー構成を確認します。
経営の不安を減らすためには、
「何が起きたら困るのか」
「そのとき、どのように対応するのか」
を事前に整理して、困り事が「起きない為の対策」と「起きてしまった時の対策」を2パタ-ンを作っておくことが重要です。 売上目標に関してもリスク管理と同様に、目標を達成するための策と、○○日までに達成しなかった策まで戦術を立てておきましょう。経営の不安がなくなり、行動ができるようになります。
7.まずは毎月の数字を記録しましょう
個人サロンでは、施術、接客、集客、予約管理、経理など、多くの業務を一人で担当しているケースも少なくありません。
忙しい毎日の中で、数字を確認する時間をつくることは簡単ではありません。
まずは、次の項目を毎月記録することから始めてみましょう。
・月間売上
・来店客数
・平均客単価
・材料費と商品仕入れ
・固定費
・粗利
・最終的に残った利益
・新規客数
・リピート客数
・次回予約数
毎月同じ基準で記録すると、サロンの変化や改善点が見えやすくなります。
数字を把握できるようになると、漠然とした不安を、具体的な経営課題に変えられます。
草野先生のコラムもご覧ください
草野先生は、エステティックジャーナルでも、サロン経営に役立つさまざまな情報を発信されています。
動画とあわせて読むことで、サロン経営についてさらに深く学ぶことができます。
草野先生のコラムはこちら
https://esthetic-journal.com/esthesaronn-oyakudachi-column/